
こんにちは。トレードマンです。
今回は2016年に公開された「ビットコイン」/「仮想通貨」に関するドキュメンタリー映画、「マジック・マネー(Magic Money: The Bitcoin Revolution)」を見た感想などを書いていきます。
今、世の中を大きく変革しようとしている(すでにしている)仮想通貨全般について大枠がすっきり理解できるとても良い映画でした。たった50分程度の長さでサクッと見ることができ、ビットコイン、仮想通貨初心者にはうってつけの内容でした。
短い映画なので映画そのものを早速見てしまっても良いかもですが、僕が見て感じたことや学びをまとめておこうと思います。
※記事内の画像は全て映画「マジック・マネー(Magic Money: The Bitcoin Revolution)」からの引用です。

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マジックマネー(Magic Money: The Bitcoin Revolution)
もくじ
|この映画のポイント
● 仮想通貨のことがザックリとわかる
● 仮想通貨の完全初心者にオススメ
● 映像で”視覚的に” “感覚的に” 理解できる
仮想通貨のことがザックリとわかる
この映画を一言でいうと、仮想通貨やビットコインについてほとんど何も知らない人が基礎知識ゼロで気軽に楽しみながら見て、「へぇ〜こんな感じなんだ〜」と学べるドキュメンタリー映画です。
仮想通貨と既存の金融システム(銀行や国が発行するお金 [=法定通貨]、現在のお金のネットワーク)との違いもわかります。
仮想通貨を仕事として扱う人がその仕組みを深く理解するには物足りないと思いますが、一般人が全体像をザーッと把握するにはちょうどいい内容でした。

仮想通貨の完全初心者にオススメ
なので、ビットコインや仮想通貨について知りたいけど、まだ右も左もわからないという完全初心者にはピッタリですね。
仮想通貨については本や専門メディアサイト、ブログなどもすでに多く出ていますし、インフルエンサーもたくさんいて、そういったところからも多くの情報を得ることができます。しかし、基礎知識がない初心者が、様々なメディアから重要な情報、重要でない情報、新しい情報、古い情報、ニュース、誰かの意見、そういった細切れの情報をバラバラにインプットして頭の中で組み立てていくのは難しいはずです。
そういった意味で、ビットコインついて本当にコアな部分を簡潔にわかりやすく、ある程度網羅的にまとめてあるこの映画はなかなか貴重な作品だと思いました。仮想通貨入門者が全体像をザックリと知るには最適な映画です。

映像で”視覚的に” “感覚的に” 理解できる
ここまでは初心者向けですが、すでにビットコインなどをよく知っている、扱っている人にもオススメできる理由があります。
それは、「映像」でビットコインや仮想通貨についての情報がまとめらているメディアがほとんどない(少なくとも僕はほぼ見かけたことがない)からです。
なので、ある程度仮想通貨に詳しい人が、改めて見てみるのもそれなりに楽しめるのではないかなと思いました。
詳しい方が見るとツッコミどころもたくさんあるかもしれないですが、それも含めてすでに知っている人が見るのもいいんじゃないかなと。
実際にコンピュータをたくさん並べて「マイニング」している様子の映像が出てきたり、お店などで実際に「会計」に使っている様子が出てきたり、「マウントゴックス事件」(仮想通貨の取引所から仮想通貨がハッキングされた事件)が発生した会社の映像が出てきたり、既存の金融システムの問題が露呈した事件などが出てきたりと、ディスプレイの中だけで完結しがちな仮想通貨の世界でも “現実世界に現れてくる部分” が多く映像として収められているところが良かったですね。

キプロスで銀行預金が封鎖されたときの様子
このことによって、抽象的な仕組みや概念、出来事が具体的にイメージしやすかったです。「あ〜なるほど〜 こうやって使うんだ〜」「ここでこういうことが起きたのか」というのがよくわかりました。
それと同時に、カメラでは映せない、ビットコインやブロックチェーンの仕組みなども綺麗なわかりやすいCG映像で解説されていて、ビジュアルで直感的に理解しやすいのが良かったです。

|映画の信頼性
製作陣
企画・制作 ティム・デルマストロ
制作総指揮 韓元徳
韓義徳
イングラー・マック
僕は誰一人として知りませんでしたが、このような面々が作った映画みたいです。
中心人物は欧米人と韓国人っぽい名前ですが、エンドロールには多くの日本人名も並んでいました。
どうやらグローバルな映画のようです。
ビットコイン自体が国境をまたいだグローバルな「世界通貨」ですが、この映画もその性質を持っているのが興味深いですね。
海外のレビュー
ナレーションが日本語であったり、日本が舞台になっているシーンが多かったりしたので、「この映画は日本人向けなのかな」と疑問に思い、アメリカのAmazonもチェックしてみたところ、どうやら海外でも観られているようで、レビューの評価も全体的に高かったです。

つまり、決して国内向けのガラパゴス的な内容ではないので、安心して観て学べる、信頼性、普遍性の高い映画だと思います。
|映画のつくり

ビットコイン起業家のロジャー・ヴィアさん
●複数の専門家がビットコインの魅力を語りながら進行していく
●ナレーターがところどころで解説
●様々な実例を具体的な映像で紹介
●理解しやすいCGで作られた概念映像
●出来事が起きている場所の美しい映像(街並みなど)
映画のつくりとしてはこんな感じでした。
これは特に解説することはないですかね〜。
映画そのものを見るのが一番よくわかると思います。
ドキュメンタリー映画としてよく作られた作品だと思いました。
ビットコインなどは文字情報だけでも「理解」はできるものかもしれませんが、この映画は「映像として見る楽しみ」「映像で見る価値」をしっかり届けてくれているように感じました。
|映画の中での学び
ここからは、映画の中で僕が学んだことをまとめています。
自分自身に対するメモ的な内容なので、読まなくてもいいかもです。
映画で「見て学びたい」という方は読み飛ばしちゃってください。
早速映画を見ましょう。

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マジックマネー(Magic Money: The Bitcoin Revolution)
ビットコイン/仮想通貨の基礎知識
(映画を見て、わかったことだけまとめてあるので、それ以上に調べて書いていません。間違っている情報や間違った捉え方、足りない情報が多々あると思います。しっかり学びたい方はご注意を…。)
【既存のお金/金融システムとビットコインとの違い】
既存のお金/金融システム | ビットコイン |
---|---|
紙幣や硬貨など実物がある | デジタル上のお金で実物はない |
中央銀行が発行量を操作できる =多く発行されれば価値が下がる | 発行数の上限が定められている =希少価値がある |
銀行やクレジットカード会社など、仲介業者を挟まないと送金できない | 送り手から受け手へ直接送金することができる |
決済や送金の際、仲介業者(銀行やクレジットカード会社)に手数料を払う必要がある | 仲介業者を通さない取引が可能のため、仲介業者に支払う手数料なしで取引ができる |
中央集権的 | 非中央集権的 |
価格が安定している =決済手段として適している | 現状、価格変動が大きい =決済手段として普及するのは難しい |
送金額に制限がある | 送金額に制限がない |
【ビットコインとは】
・ブロックチェーンに記録されたデジタル通貨
・ビットコインは「コピー」できない、デジタル上のお金の「原本」
・ビットコインは仮想通貨の1種であり、ビットコイン以外にも無数のコインが存在している
・ビットコインは最初にできた仮想通貨
【ビットコインの誕生】

・2008年頃に発表された「サトシナカモト」の論文をきっかけに開発が進み、実用化
【ビットコインの用途・特徴】
・決済手段
>>ボラティリティーが高いので決済手段としては有用性が低いという意見も多い
・銀行口座を持たなくても、インターネットが使える環境にあれば、世界中どこでも誰とでも瞬時にお金のやりとりができる
・仲介業者を挟まずに送り手から受け手に直接お金を送ることができる
=Peer To Peer(P2P)
=非中央集権的
・送金額の制限(上限も下限も)がない
・資産の安全な保存手段
>> ビットコインは発行数に上限が定められており、数に限りがある。「デジタルゴールド」とも呼ばれていて、その価値が政府、中央銀行などによって薄められることはない。
【ビットコインの安全性】
・仮想通貨のハッキング事件での本当の問題点はビットコインそのものではなく、「取引所」や「個々人の管理」の点。ビットコインのネットワークそのものがハッキングされたことは一度もない。そこを誤解しないことが重要。
【ビットコインの仕組み】
・マイニング。マイナー。
>>パソコンで複雑な計算式を解き、ビットコインの取引を記録していくことを「マイニング」と呼び、それを行う人たちを「マイナー」と呼ぶ。
>>「マイニング」することによって報酬としてビットコインを得ることができる。
・ブロックチェーン
>>簡単に言うと、「世界中のパソコンに取引記録が分散して保存されている仕組み」
このことで、
・データの「改ざん」が困難になる
・ネットワークを途切れさせずに常に運用することができる
などのメリットがある。
・ウォレット
>>仮想通貨を入れておく財布
>>ネットワークに接続していない状態のウォレットを「コールドウォレット」、取引所などに接続してすぐに売り買いできるような状態のウォレットを「ホットウォレット」と呼ぶ。
【既存の金融システムの問題点】
・中央集権的
・国からの規制
・銀行にお金を預けておく危険性
>> 現在のお金は「政府」「中央銀行」「銀行」「クレジットカード会社」などに支配されていて、彼らの権力によって自分のお金が送金できなかったり、最悪の場合突然「ゼロ」にされてしまうリスクもある。
>>銀行口座もクレジットカードも根本的には「鍵」を持っているのは利用者自身ではなく、業者。口座を凍結されるリスクがあるし、実際に凍結されて預金を引き出せなくなったり、カードを利用できなくなった事例はたくさんある。
・法定通貨の価値は下がっている
>> 法定通貨というのは、中央銀行が自由に通貨を発行することができてしまうため、通貨の価値はどんどん下がってきた。
・銀行にお金を預ける=勝手に自分のお金を使われる
>> 銀行は利用者が預けたお金(預金)を運用(貸したり)することでお金を稼いでいる。
多くの利用者たちが預けた「巨額の資金」は、預金者の意図しないところで戦争の費用になっていたり、自然破壊をする企業に投資されていたり、もしくは食の安全を脅かす企業に投資されていたりすることもある。
銀行にお金を預けることによって、一般市民のお金は巨大なお金となって銀行自身の投資マネーになっている。
しかし、「お金を預ける場所」が銀行ではなく、自分自身の仮想通貨ウォレットになれば、そこに置いてあるお金というのは銀行などが勝手に使うことはできなくなる。そういう意味で、一般市民のお金が意図せぬところで戦争の役に立つなどということがなくなっていく。
仮想通貨の問題点
【問題点】
・中央がいない、完全に自己管理できる代わりに自己責任も強い世界
>> シークレットキーを紛失してしまうと2度と自分の資産は取り戻せない。
>> 仲介業者を挟まないデメリットは、全ての取引が「最終的な取引」であり、一度送ったお金を返してもらうことは相手の同意がない限り不可能。
【疑問】
・本当に「送金手数料は無料」か
>> 実際は取引所の手数料がかかったり、「ガス代」という取引手数料がかかったりと、送金手数料は必要である状況な気がする。
このあたりは実際に使ってみたり、もっとよく調べてみたい。
・ビットコインは本当に安全か
>> ブロックチェーン自体は盤石なセキュリティーであっても、個人のウォレット自体の情報を盗まれたり、「取引所」がハッキングされたりと、仮想通貨のハッキングニュースは後を絶たない。
・本当に「インターネットだけで銀行口座を持たない市民までもが世界経済の仲間入りができる」?
>> 実際に仮想通貨の取引所を使おうとしてみるとスマートホンの「SMS認証」が必要であったり、免許証などの「身分証明書」が必要であったりと、少なくとも日本では完全に「銀行口座を持たない市民までもが世界経済の仲間入りができる」状況ではないと思う。
ただし、「ウォレット」自体は身分証などがなくてもインターネットのブラウザさえあれば誰でも作れるので、何かしらの価値を提供してその支払いを仮想通貨で「受け取る」「送る」「保管する」ということは本当にインターネットに接続できる環境さえあれば誰でもできるのは確か。
取引所での売買はできないけど、完全に個人同士の取引はできる。
|映画を観て思ったこと
ビットコインという「木の幹」の部分がよくわかる
この映画には、「投資関係の話」や「ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)」の話は全く出てきません。
あくまで「ビットコイン」にフォーカスが当てられていて、その仕組みとして「ブロックチェーン」や「マイニング」の話が出てきたり、ビットコインの成り立ちとして「サトシナカモト」の名前が出てきたりします。
こういった基本的な部分を説明した上で、ビットコインの「使われ方」や「問題点」「社会的意義」などに話が進んでいきます。
この映画には、発展的な内容や、枝分かれした小さなテーマの話は全く出てきません。完全に「木の幹」の部分のみに絞られています。
しかし、こういったビットコインの「幹」の部分の話というのは全ての仮想通貨やブロックチェーンの根本なので、ビットコインを理解することは重要かつ必須です。
この映画は現在の仮想通貨にまつわる「全ての基礎の部分」をざっくりと把握するには絶好の内容でした。
現在(2022年)は、仮想通貨に絡んで、ビットコイン以外の「アルトコイン」はもちろんのこと、「DeFi(ディファイ)」や「NFT」、「DAO」など様々な発展的な情報が増えてきています。
しかし、それらは「全く新しい情報」なのではなく、全て「ビットコイン」やその仕組みが大元になっているわけです。
もしあなたが、
「仮想通貨について発展的な情報も知っていきたいんだけどビットコインのことすらまだあまりよくわかっていないんだよな…」
という場合には、この映画は大推薦できる内容でした。
50分で見れるので、「ビットコインの入り口」「仮想通貨の入り口」として、ぜひサクッと観てみてください。

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マジックマネー(Magic Money: The Bitcoin Revolution)